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SHIORI NARITASHIORI NARITA

待ち時間の数分間。
メインイベントの裏側。
陽の当たらないところに
大事な仕事があります。

誰かの生きがいにつながる仕事。
ただのキレイゴトじゃないリアリティ。

入社してから最近まで、寺社仏閣を案内する寺旅チームに所属していました。クラブツーリズムの寺旅の売りはガイドさん。添乗員の私は、毎回お客様の期待をガイドさんに伝え、念入りに相談のうえご案内をお願いしています。ただお参りしてお土産を買って終わりじゃない。たとえば出雲大社だとガイドさんが日本人のルーツや神話の時代の解説も添えてご案内しています。お客様からは「日本人として来て良かった」などと感想を言っていただき、旅行はただの名所観光ではないと改めて実感しました。ツアーへの参加理由は「なんとなく遊びたい」というカジュアルな理由ばかりじゃない。「文化を学びなおしたい」といった真剣な理由もあります。つまり、一人ひとりの想いとリアリティに向き合える仕事。思い返せば、私の入社動機は「誰かの生きがいにつながる仕事をしたい」でした。入社前に掲げたビジョンって、掲げただけになってしまうことあるじゃないですか。でも、そうじゃない。今、私は実現できている。こんな仕事ができるんだ、と自分でも驚いています。

人生が垣間見えるような旅が
ここにはあります。

いろんなツアーを担当しましたが、最も印象に残っているのは「恐山参拝とイタコ口寄せ」のコース。イタコさんが亡くなった方の霊を降ろし、その方とお話ししていただく体験。なかなか珍しいツアーですよね。このツアーはほんとうに特別。凄みがある。重みがある。なぜなら、お客様のほとんどは、大切なご家族やご友人を亡くした方々。生前話し足りなかった後悔を抱えていらっしゃったりするんです。人生経験が未熟な私の器じゃ、到底抱えきれないものを抱えていらっしゃる。だからこそ、私にできることを一生懸命やろう。お客様の想いを裏側から支えよう。背筋がピンと伸びます。

添乗時はとにかく声をかける。じっくりと話を聞く。恐山のツアーでは、イタコさんとお客様がひとりずつ過ごされるので、みなさん待ち時間があります。青森の奥地までわざわざ来ていただいているので、少しでも後悔の残らないようにしなきゃいけない。イタコさんとの会話の進め方や、メモを取ってもいいことを伝えたり、時にはお客様の不安な気持ちをお聞きしたり。一般的なツアーと違って気軽に感想をお伺いできる感じではないのですが、終わった後に涙を流されているお客様の姿を見て、自分の仕事の意義について改めて考えさせられました。

「頑張りすぎなくていいんだよ」
と言われますが、つい張り切ってしまう。

最近はおひとり参加が増えています。グループ参加の方もいる中でさみしい思いをされないように、お声がけしていきます。友達探しに来られる方、ひとりで旅行を楽しみたい方、いろいろいらっしゃるので接し方は変えなければいけません。難しいところですが、大事なことは一人ひとりに合わせたホスピタリティ。私たちにとっては何十、何百のうちの一回でも、お客様にとってはたった一度の大事な旅ですから。

お客様とお話をしていると「御朱印が欲しい」「あっちに行きたい」「ガイドさんはどこ?」などといろんな要望をいただきます。聞いたからにはしっかり応えたい。対応しようとツアー中ちょこまか走り回っているので、お客様からねぎらいの言葉をいただくことも。でも、苦ではないんです。誰かのために汗をかくことはやっぱり楽しい。学生時代も百貨店のアルバイトや留学生のサポートをしてきたように、自分にできることを重ねていくことがやりがいでもあり、成長にもつながると実感しています。それが積もり積もって自分の魅力になればいいなと。誰かのために頑張ることが、最終的にすごく自分のためになっている。ホスピタリティと自己成長の好循環、これからもぐるぐる回していきたいです。

TOPICS

ホスピタリティの
秘訣って何ですか?

リピーターのお客様を覚える
寺社仏閣はファンが多く、ツアーもリピーターの方が約6割。添乗する私たちは、名前を見るだけでどんなお客様か思い出すことができます。住んでいる場所まで覚えていることも。お客様とは好きな歴史の話もすれば、世間話もします。なかには友人のような感覚を持ってくださるお客様もいらっしゃいます。だから、お客様の情報を覚えられるんです。「次も一緒に行こう」と言ってもらえた時、アンケートでたくさんの感想をいただいた時は、内心飛び上がって喜んでいます。また、自分が添乗しない場合には、当日の添乗員にリピーターのお客様の特徴をお伝えすることも忘れません。
お客様をウォッチする、話を聞く
お客様との年齢差があるのにお客様の好奇心をそそるような新しい旅を考えるのは難しいことなのではないか等といった疑問を持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでお伝えしたいのは、ツアーの企画・運営は、私たちからお客様への一方通行じゃないということ。たとえば、ツアー中にお伺いした小さなつぶやきが次の旅のヒントになることもある。ダイレクトにお客様に聞くこともある。お客様に密着するからこそ、ネットで検索しても出てこないようなリアルな感想をいただくことができる。お客様の声を聞きながら「さすがクラツーさん」と言われるようなツアーを企画していきたいです。